大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)718号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(判旨)原審各公判調書及び原審判決書にそれぞれ公判廷に列席した裁判官又は裁判書の作成者として、いずれも裁判官鈴木盛一郞と記載してあること及び原審第四回公判調書を除くその余の各公判調書に、それぞれ公判廷に出席した検察官として検察官武村啓大郞と記載してあることは所論のとおりである。しかし裁判官という用語は憲法、裁判所法、刑事訴訟法、等に見受けられるとおり、裁判の職務を行う官吏である最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官、判事、判事補及び簡易裁判所判事の総称であるから、これを刑事訴訟規則第四十四条第一項第四号にいわゆる官名と認めることができ、また検察官という用語は憲法、検察庁法、刑事訴訟法等に見受けられるとおり、検察の職務を行う官吏である検事総長、次長検事、検事長、検事及び副検事の総称であるから前示規則第四十四条第一項第五号にいわゆる官名と認めることができるものというべく、従つて原審公判調書及び裁判書に裁判官鈴木盛一郞と記載してあるのは判事又は判事補鈴木盛一郞と記載してあるのと同様であり、原審公判調書に検察官武村啓太郞と記載してあるのは検事又は副検事武村啓太郞と記載してあるのと同様であつて、これを以て刑事訴訟規則第四十四条第一項第四号又は第五号の要求する事項の記載を欠くものということはできない。而して右裁判官鈴木盛一郞は昭和二十三年法律第百四十六号判事補の職権の特例等に関する法律第一条の規定により昭和二十三年七月二十七日最高裁判所から判事の職務を行わしめる者に指名された判事補であることは当裁判所に顕著な事実であり、刑事訴訟法第四十八条刑事訴訟規則四十四条によれば公判調書には裁判官の官氏名を記載すれば足りるものであり、同規則第五十四条、第五十五条によれば裁判書は裁判をした裁判官が作りこれに署名押印すれば足りるものであるから、公判調書又は裁判書に同判事補が判事の職務を行う権限を有することを特に記載する必要なく、その他記録上これを明らかならしめなければならないものではない。また検察官武村啓太郞が検事の資格を有するものであることは当裁判所に顕著な事実であるばかりでなく、記録によれば被告人等に対する各起訴状には検察官武村啓太郞と表示してあり、同人の被告人等に対する供述書にも武村啓太郞と表示してあるのであるから同人が検事の資格を有するものであることは記録上も明らかなのである。論旨はいずれも理由がない。

(説明)この問題も既に判例によつて確立されているところであるけれども最近まだこうした点で争つている控訴趣意があるので特に掲げておく次第である。当庁の最近の同種のものとして第二刑事部の二八・五・一九判決(二八(う)第二〇一号公職選挙法違反被告事件)、第十二刑事部の二八・五・八判決(昭和二八(う)第二〇二号同法違反被告事件)その他が存することを附加しておく。

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